自民党再エネ議連では、改正FIT法や来年度の調達価格等に対して以下の通りの提言を取りまとめています。12月2日に経産省に提出しており、その内容は5日に開催された算定委にも反映されたようです。今後とも、再エネの普及拡大に議連一丸となって取組んでいきます。
さて、提言本文は以下の通りです。
固定価格買取制度は、再生可能エネルギーの導入に大きく貢献し、再生可能エネルギー電気比率は平成28年5月に21.9%を記録した。一か月間の実績とはいえ2030年のエネルギーミックスの数値をほぼ達成しており、こうした現状を鑑みれば、エネルギー基本計画の見直しをする際には、より積極的な導入目標も検討すべきである。
固定価格買取制度をより良い制度とし、再生可能エネルギーを最大限導入するというわが党の公約を実現するために、当議連では、再生可能エネルギーに関する様々な団体・企業等からヒアリング等を行い、以下の通り、改正FIT法及び非化石市場に関する再生可能エネルギー普及拡大のための具体的な方策を提言する。
1 .改正FIT法の適切な施行による再生可能エネルギーの導入拡大
改正FIT法の施行に伴い認定が失効する案件については、系統接続枠が円滑に解放されることにより、新規案件の導入が促進されるよう、一般送配電事業者が系統接続枠の解放をするよう国が強力に指導すべきである。
出力抑制については、その見通しを精緻化するとともに、試算に必要となる諸元等を公表することにより発電事業者が収支見通しを立てることができるよう配慮すべきである。
2.入札制度の慎重な運営
事業者の予見可能性を確保しつつ、競争の促進による買取価格の引下げを可能とするため、入札制度の対象は、当面、大規模な事業用太陽光発電に限定すべきである。具体的には、当初2年間を試行的実施期間と位置付け、対象となる事業用太陽光発電の規模を2MW以上とするなど、入札は慎重に実施すべきである。
3.バランスの取れた再生可能エネルギーの導入促進に向けた調達価格の設定
バランスの取れた再生可能エネルギーの導入促進を図るため、調達価格の設定においては、リードタイムの長い再生可能エネルギーに配慮すべきである。特に、風力発電の調達価格については、環境アセスや系統接続との関係等を踏まえ、段階的な対応とすること。また、平成31年度まで風力発電の現在の調達価格を維持することが望ましいが、少なくとも来年度前半まで現在の価格を維持することなど必要な配慮を行うべきである。
メタン発酵ガス化バイオマス発電、木質バイオマス発電及び地熱発電など導入の進んでいない電源についても現在の調達価格を維持することなども含めた配慮をすべきである。リプレースについては、FIT法における認定要件や取得時期、系統への接続条件を早急に確定するとともに、立地制約等に鑑み、風力発電、小水力発電、地熱発電についてリプレース価格を設定すべきである。
調達価格の区分についても、中小水力発電における1000~5000kWや50kW未満といった規模別又は水圧管路取水方式や流水取水方式といった発電方式別の区分の設定、バイオマス発電における規模・効率等に応じた区分の設定など、適切な見直しを検討すべきである。
4.再生可能エネルギーの更なる導入を可能とする系統接続の円滑化
系統への接続がファイナンス上の課題となっていることに鑑み、出力抑制率試算値の更なる精緻化やファイナンスに対する支援措置のほか、出力制御に伴う損失を最小化するため、既存電力系統設備の有効活用を検討すべきである。
再生可能エネルギーの更なる導入拡大を促すためにも、リードタイムの長い電源に配慮した支援策や、長期的な視点に基づく電力系統運用・整備のための方針を早期に策定すべきである。特に、北東北など系統が脆弱な適地を含む再生可能エネルギーの普及拡大を見据えた広域系統長期方針を策定すべきである。また、東北については、東北北部エリアにおける電源接続案件募集プロセスに係る案件についてFIT認定等で配慮を講じるとともに、事業者の系統接続を早期に確保すべきである。
北海道については、北本連系線を活用した実証試験の空枠について速やかに再募集を行うとともに、実証実験枠そのものの拡大を検討すべきである。また、蓄電池募集プロセスも速やかに実行し、調達価格の決定の際に事業者が不利益を被らないような配慮することが必須である。なお、事業者の予見可能性を確保するため、各手続の詳細を速やかに明らかにすべきである。広域運用拡大による本州側調整力の最大限の活用も望まれる。
資源エネルギー庁も、各エリアにおける情報を正確に把握するとともに、送配電事業者に対し、認定失効に伴い解放される系統接続枠について変電所および送電線ごとの容量の増減が分かる形で情報を開示させるなど、再生可能エネルギー発電事業者に適時適切に情報提供が行われる環境を整備すべきである。電力会社の系統接続契約の処理に遅延が生じていることについても改善されるような措置を検討するべきである。
5.再生可能エネルギーの導入拡大に資する非化石価値取引市場の構築
非化石価値取引市場の導入に当たっては、高度化法の目標設定の在り方を早急に検討し、事業者の予見可能性を十分に確保した運用を可能とするとともに、原発とは明確に区分する等、再生可能エネルギーの普及拡大に資するような制度設計とすべきである。特に、非化石証書の種類については、事業者のニーズを踏まえ、細分化も含めた検討を行うべきである。
6.電力システム改革による再生可能エネルギーの普及拡大
電力システム改革を通じ、更なる再生可能エネルギーの普及拡大と安定供給の確保とを両立させるため、卸電力市場の活性化を図るとともに、優越的地位の濫用等を働く事業者が現れないよう、更に監視を強化すべきである。