あともう少しで初当選から3年になるが、RETFはそのころからずっと追いかけてきた。最近は党の行革本部にRETFを自主企画で持ち込んで、河野太郎本部長(当時)と一緒にヒアリングを続けてきた。100億円以上かかるとされていたRETFの無計画な改修事業について、その予算をやっと停止させることが出来るかもというタイミングで河野本部長が私にこう言った。

 「RETFのいい加減さをみているとさ、JAEAの事業でおかしなのもっと一杯あんじゃない?ちょっとさ、文科の原子力関係事業全部洗ってみてよ。」

 その日から、文科省の原子力関係事業レビューシートを数週間ほど徹底的に調べまくった。文科省やJAEAから何度もヒアリングをして、疑義のある事業を数十件ピックアップした上で本部長に結果を報告した。その報告のイの一番にしたものが、ふげんの使用済燃料運搬船の「開栄丸」だった。

 開栄丸は、総トン数4,924t・機関出力4,266kWで、ふげんの使用済燃料を運搬するために建造された輸送船。ふげんの燃料を運ぶのだから当然にJAEAの所有船かと思ったら、JAEAが費用を丸々負担して原燃輸送という会社に建造させるという変化球だった。その費用負担は、建造費(設計費や利子含む)を竣工後15年間で90%、残りの10年間で10%を定額償却。船の維持及び輸送管理費に必要な各年度毎に発生する費用(人件費や修繕費など)となっている。船の竣工は平成18年8月となっており、建造費と維持費の合計が平成18年~26年で約105億、平成27年~平成43年までが約181億でトータル286億円となっている。

 300億円近い税金を投じるのだから、さぞかしシッカリとした運行をしているのだろうと調べていたところ、この開栄丸という船は平成18年の竣工から現在までにたったの4回しか運行実績がなかった。詳細は、ふげんの使用済燃料を平成18年に5.2t1回、平成19年に5.2t×2回、そして平成21年に関電の大飯から東海村の民間企業に1回という内容だった。JAEAが使用した3回の輸送に要した費用は約2億円で、関電が利用した平成21年の輸送に関してのトン数は非開示で費用は6,000万円だったらしい。これもおかしな話で、建造費と維持費を丸々負担しているJAEAとスポット利用の関電が払った金額が殆ど変わらないときている。もちろん、この6,000万円はJAEAの懐には入らない。JAEAの負担減(国民負担の軽減)の原資となっても良いはずなのにだ。

 開栄丸はMOX燃料の輸送船なので、ふげんももんじゅも止まっている中で運ぶものがない。緊急離岸訓練やドックでの点検などで1年のうち約120日ほどは航行しているが、残りの約240日は室蘭港などに係留されていて航行していない。それなのに、船員は常時13名~17名ほど乗船していることになっていて、その1名あたりの人件費は123万円/月と積算され予算要求されている。年じゃないですよ、1ヶ月123万円!

 123万円/月って人件費には驚いたが、内航ニ団体(内航労務協会、一洋会)の船員費妥結額をベースにした原燃輸送からの見積額ってのが根拠らしい。ただし、この123万円/月はJAEAが原燃輸送に払っている額で、船員が実際に手にしている額は分からない。JAEAから原燃輸送に問い合わせたが、非開示と回答されたらしい。RETFや開栄丸は言うに及ばず、原子力関係ってのは、どうにもこうにも非開示とか守秘義務ってのが多すぎやしないか。

 240日近くもの日数をオカで過ごしているのに、どうして123万円/月も出して13名~17名もの船員を乗船させるのか?と聞けば、緊急時の対応のために乗せているとのこと。国交省に確認したところ、係船届けを出せば1名で済むらしいのだが・・・。

 河野議員が大臣になる前は、「閉会したら開栄丸を見に行こう」と約束していた。大臣になったことで河野議員は時間的に厳しくなってしまったが、私の方は変更なく閉会中に粛々と視察に行くつもりでいる。

 政府では、11月11日~13日まで秋の行政レビュー(事業仕分け)を予定しており、この開栄丸やRETFも議題にすると河野大臣から聞いている。あと、「あっちの原子力関係も・・・」とのお土産付だった。