燃料デブリなどに触れた汚染水の放射性核種を低減する装置であるALPS。どうやって低減しているのか簡単に言えば、汚染水をフィルターに通して核種をキャッチしている。当然、このフィルターは放射性核種で目詰まりするので交換が必要になる。この使用済フィルターでキャッチした放射性核種を保管する容器をHIC(高性能容器:HighIntegrityContainer)と言う。
本来は開いていなければならないベント孔が開いていないことで放射性核種が漏れるなどという信じがたいトラブルを始め、このHICはすでに何度もトラブルを起こしていて、これから更に厄介モノとなる予感がする。ちなみにこのHIC、高性能容器などと言うものだから、さぞかしシッカリとした金属製なのかと思っていたが、よくよく調べてみたら紫外線劣化が懸念されるようなレベルのポリエチレン製容器だった。
このポリエチレン製容器1体の中に収められている放射性核種の放射能は数百兆ベクレル超えも想定される。とても高い線量なので放射線業務従事者の被ばく低減のために遮へいを設けているが、それでもその線量は1mSv/hというとてつもなく高い線量となる。ちなみに、青森県の低レベル放射性廃棄物埋設センターで処分されている廃棄物の数百~数千倍もの線量である。
東京電力福島第一原発では、これだけの線量を持っている廃棄物を、ポリエチレン製の容器に入れて保管しているのだ。このポリエチレン製容器は外国製なのだが、わが国の発電用原子力設備規格、設計・建設規格の構造強度要求に適合していない。
HIC、とんでもない代物ではないかと強い疑義を持っている