除染費用の東電への求償状況について、たびたび当報告に書いてきた。今回は、帰還困難区域内の除染の求償状況について。

 平成23年の常磐自動車道警戒区域内における除染モデル実証事業3億円からスタートして、平成27年大熊町復興拠点除染等工事200億円まで、15事業287.7億円の除染事業が実施済みあるいは実施中となっている。この15事業287.7億円の除染事業のうち、東電が応諾しているのは5事業51億円でしかない。

 除染のルールを決めている放射性物質除染対処特別措置法第44条には、その費用負担について定めてあり、以下のように書いてある。

第44条 事故由来放射性物質による環境の汚染に対処するためこの法律に基づき講ぜられる措置は、原子力損害の賠償に関する法律第3条第1項の規定により関係原子力事業者が賠償の責めに任ずべき損害に係るものとして、当該関係原子力事業者の負担の下に実施されるものとする。
 2 関係原子力事業者は、前項の措置に要する費用について請求又は求償があったときは、速やかに支払うよう努めなければならない。

 これって誰が考えても、東電はしっかり払いなさいってことでしょ。

 ところが・・・東電は、除染対象地域に帰還困難区域が含まれている10事業については、平成25年12月20日の閣議決定の「現在計画されている除染」には含まれないとして、応諾を保留等としているのだ。東電が根拠としている閣議決定には、以下のように書いてある。

 「被災者・被災企業への賠償は、引き続き、東京電力の責任において適切に行う。また、実施済み又は現在計画されている除染・中間貯蔵施設事業の費用は、放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、復興予算として計上した上で、事業実施後に、環境省等から東京電力に求償する。」

 東京電力と経産省はこの閣議決定をたてに、閣議決定時に計画のなかった事業については支払わないという姿勢を見せている。一方の環境省は、除染特措法に基づく除染費用は東電の責めに任ずるとしており、計画時期が閣議の前後であるかは関係なく求償するとしている。仮に、この求償に東電が応じない場合は予算に穴が開くので、税金で穴埋めする等の新たな財源を探す必要がある。万が一、そうした事態になった場合は、経産省に現行予算の枠内で穴埋めしてもらう他ない。