室蘭港に係留されたまま殆ど動かない開栄丸。13~17人の乗組員あたりの計上されている人件費は一人当たり123万円/月と非常に高額。いつ運ぶとも分からない積荷なのに、いつでも動かせるように何年もスタンバイしているため、人件費も含めて多額の税金を垂れ流している。

 この状態を解消するひとつの方策が係船届けの提出となる。開栄丸に乗っている乗組員数13~17人は闇雲に決めているわけではなく、運航上や核防護上の最低法定人数という基準をひとつの目安としている。この人数は航行中でなかったとしても、係船届けを国交省に提出しない限り減員されることはない。つまり、係船届けを提出しない限り、船が港という陸に係留されていても大海原を航行している時と同じ人数を要求されるのだ。ちなみに、開栄丸は初航海以来一度も係船届けを出したことはない。仮に、開栄丸がこの係船届けを提出した場合、法定の乗組員数は0~1人と大幅に軽減されることになる。「じゃ、係船届けを出せばいいじゃん」と言うことになるのだが、話はここから少々ややこしくなる。

 開栄丸は普通の船と違ってプルトニウムの含有量が多い核燃料を運ぶ船なので、運航する際に船舶保安証書又は船舶保安確定書という特別な許可を必要としている。係船届けを出して人員を削減した場合、核防護上の警備体制の維持が出来なくなってくるので船舶保安証書での運航が出来なくなるのだ。ただし、臨時船舶保安証書又は臨時船舶保安認定書(有効期間6ヶ月)を取得して運航することは出来る。この臨時の証書は申請から2~3ヶ月(保安訓練1回以上実施)で取得が可能だ。

 その際には、係船中に核防護上の保護措置をどのように確保していたかが問題になってくる。つまり、臨時証書を短期間でスムーズに取得するためには係船中であっても一定の核防護上の保護措置を保つ必要がある。また、係船が長期に渡った場合はメンテナンスの頻度も問題になってくる。通常の法定検査は5年に2度と定められているので、その程度のメンテナンスをし続ける必要もある。

 よって、JAEAや運航会社は否定的(そもそも上述のような手続きを全然教えてくれなかったが・・・)だったが、係船届けを提出し船員を大幅に減員した上で5年に2度程度のメンテナンスを受けつつ、必要最小限の警備員を配置し、核防護上の再認定を取得しやすい状況を維持しながら、使用するその日を待つという選択肢は存在する。もちろん、解約も・・・。

 最後に、核燃料運搬船が係船届けを出すという想定が、実は国交省側にも無かった。係船中の核防護上の措置をどのように維持すれば良いのか、三省通達を見直す作業を関係省庁にはしてもらわねばならない。いずれにせよ、もんじゅやふげんの燃料をいつ運ぶのかまったく見通しのない中で、上述ような体制を維持・構築する必要がそもそもあるのかから考えねばならないが、少なくとも現状のまま年間12億円もの血税を垂れ流す状況は異常だ。