行政レビューを傍聴していて驚いたのは、自民党行革本部への報告と内容が違う事項が複数あったこと。党でのヒアリングから時間も経過しているので新しい事実というなら理解できるが、説明内容や金額がガラッと変わっていた点があったことには本当に驚いた。開いた口が塞がらないとはこの事だと思った。

 例えば、開栄丸を解約した際に発生する違約金の話し。党の行革本部でのヒアリング時に、「開栄丸の契約を解約するとどうなるのか?」ということは散々聞いてきた。平成43年までに支払うと約束している固定費と変動費の合計181億円を払った上に、開栄丸の所有権は民間会社のままであるとの説明だった。「だから解約できない」のだと。それがレビュー会場では、「建造費の残額と3年間分の維持費の合計で30~40億円」などと言い出した。

 さらに、党のヒアリングで12億円の支出内訳を聞いたときには次のように答えていた。「12億円の内訳は、船舶資本費331百万円、共用化資本費13百万円、固定費777百万円、変動費35百万円に利子の91百万円だ。しかし、これ以上の細かい区分支出は分からない。理由は、民間会社から出てきた見積もりは実は約15億円だった。これをひとつのパッケージとして、総額を減額交渉して12億円に下げさせた。よって、どの区分がどのように減額されたのかが分からないからだ。」と。じゃぁ、せめて支出項目くらいはだせるでしょ?と聞いても、「民間側が情報開示を認めていないので、これ以上の内容は出せない。」と説明していた。

 それがレビューでは、以下のように区分ごとの詳細金額を答えていた。

・船舶資本費減価償却費及び支払利息、固定資産税33千万円
・共用化資本費の減価償却費及び支払利息、固定資産税1千万円
・修繕費、ドック費用18千万円
・放射線管理資機材点検校正費1千万円
・船員人件費16千万円
・船用品費、雑費2千万円
・室蘭港係留、同設備費2千万円
・運航管理会社人件費等10千万円
・原燃輸送人件費等11千万円
・船舶管理電気料金2千万円
・保険料1千万円
・一般管理費13千万円
・室蘭港出入港、警備費等1千万円
・由良港出入港、警備費等0.5千万円
・燃料費2千万円
・消費税9千万円

 前述したとおり、パッケージなので細かい数字はないと言っていたのに、この資料には「JAEAが作成」とクレジットまで入っていた。こうした所を見ると、JAEAや文科省は自民党に嘘の報告をしていたということになる。運航管理会社や原燃輸送への人件費については党でのヒアリング時に説明はなかったので、これらの意味不明な支出を隠蔽する目的で開示しなかったのかと勘ぐりたくもなる。この点については近日中に文科省から納得のいく説明がなければ、それなりのルートで厳正に対応しなくてはならないと考えている。

 修繕費やドック費用にも問題がある。開栄丸に義務付けられている法定検査は2.5年に1度ということになっており、18千万円という多額な修繕費やドック費用を毎年計上するのは行き過ぎている可能性が否定できない。ドック費用ってからにはドックがある和歌山県由良港まで航行するわけで、航行中の法定船員数は停泊時の約1.3倍となっている訳だから、人件費もそれだけ計上されていると言うことになる。

 実は、船には係船届けという減員可となるシステムがある。1ヶ月以上の長期に渡って港に停泊する場合、この届けを出すと法定船員数を1名又は0名にまで減らすことが可能となる。逆に言えば、この係船届けを出さない船はずっと法定船員数を乗せ続けなくてはならないのだ。ちなみに、開栄丸は係船届けを出したことが過去に1度もない。つまり、使われていない数年間も法定船員数を保ったままということなのだ。通常の感覚ならば人件費削減のために係船届けを出すのが常識的だと思うのだが、文科省やJAEAは2つの理由を掲げてこれを否定している。

 最初の理由は、津波が来たら緊急避難が出来ない。もうひとつ理由は、係船届けを出すと次に出航する場合に時間がかかる(許可が出ない可能性がある)というもの。しかし、これらの理由には今ひとつ説得力を欠く点があり腑に落ちない。なぜなら・・・説明するには平成20年12月22日付けの三省通達と海査第506号の解説からしなくてはならないのだが、これについては次回にしようと思う。