本日、事務局長を務めている「電力全面自由化による地域の新規事業・新規雇用創出委員会」で、高市政調会長に以下の提言を提出し記者会見もしました。それなりにエッジの効いている内容。

自由民主党政務調査会
資源・エネルギー戦略調査会
電力全面自由化による地域の新規事業・新規雇用創出委員会 提言
 
【総論】
 電力システム改革により、新しく開放される現在規制下にある約7兆5,000億円の市場について、分散型電源等の導入を促進することにより地域経済の活性化につなげる。計画及び実施にあたり、自治体が地域金融機関と連携しながら財源面の手当てを含めた総合調整を着実に行う。その経済規模は2030年までに1兆円以上とする。
 電力市場全体における新規参入事業者(現在の一般電気事業者系以外の新電力)の比率については今後10年で3割を目標とし、併せて、既存電力会社間の競争も進め、消費者の電力間乗り換え率については料金規制撤廃までの期間内に1割以上を目標とする。また、すでに自由化されている部門についても市場の開放をさらに促進し、その実現のために独立規制機関による規制を導入する。

【各論】
1.公平な競争環境の整備
 (1)我が国のエネルギー供給の将来像については、「電力システムに関する改革方針」(2013年4月)において、小売及び発電の全面自由化や送配電部門の中立性の一層の確保等を中心に改革を進めることとされ、大規模集中電源から分散型電源の割合を高める方向での議論が行われている。
 需給逼迫等の環境変化により、電力需給を均衡させるための手段として分散型エネルギー等への期待が高まっており、分散型エネルギーの一例として、地域の自然資源を利用した太陽光、風力、バイオマス、小水力等の再生可能エネルギーや水素による発電や熱供給等に大きな役割が期待されている。また、多様な主体による発電事業への参加や需要管理の実現など、多くの主体がエネルギーの生産・消費に積極的に関わることのできる環境整備が目指されている。

 (2)このような状況の中、地域において分散型エネルギーの導入を促進するためには、その前提として、電力市場への参入障壁が撤廃され、公平な競争政策が徹底されることが必要である。そのためには、電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織を、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織へ一日も早く移行させること(電気事業法の一部を改正する法律附則第11条第6項)が必要である。
 送電分野は公益的独占事業となるため、新たな行政組織を中立性を担保するための独立規制機関とすることが大変重要であり、その独立規制機関は、利害関係者や他の行政主体及び政治から独立し、予算や人的資源が自立していることが必要である。
 特に法的分離の場合は、送配電会社が別会社化されるとしても、旧垂直統合事業者から分離された発電事業会社が小売り事業会社と資本関係を有することから、同じグループ会社間での取引が優先的に行われていないことを監視することが必要であり、独立規制機関を国家行政組織法第3条や第8条に基づく組織とすることも含めて検討し、独立性・専門性の高い組織とする。
 
独立規制機関は、託送料金、インバランス料金が適正かどうかを判断し、認可する。また、市場における独占が行われていないかなどの監視や卸電力取引所の活用状況のモニタリングを行い、非対称規制の実施も含め、既存電力会社と新規参入事業者の市場独占率の適正化を図る。発電事業者と送配電事業者の取引の透明性を担保し、情報公開を進めていく。需要家への料金メニュー等の説明義務が果たされているかなどについても監視を行う。送電線の増強計画についても送配電事業者への監視・是正を行う。併せて、送配電部門の中立性が確実に担保されるよう、送配電事業者の役員の兼職に関する厳格な規制などの様々な行為規制を立案し実施する。さらに、災害やテロ等の危機管理が必要となる緊急時にも最終的な安定供給が確保されるよう、関係者間での適正な役割分担を図る。

 (3)競争市場が創設され、公平に運営されているかを測るための目安が必要である。市場での新規参入事業者(現在の一般電気事業者系以外の新電力)の比率が、3年で1割、10年で3割を市場開放の目標とする。既存電力会社間の競争状態、競争の進展についても独立規制機関はモニタリングを行い、実質的な競争を実現する。
 有力な新規参入主体のひとつであるガス業界は、2030年までに、①コージェネレーション容量を3,000万kW(系統への逆潮分1,000 万kWを含む)、②家庭用燃料電池を500万台、③ガス空調については電力ピーク換算2,600万kW相当とすること等を掲げている。これらを合計すると、3,800万kWから4,300万kWの電力ピークカット効果や、年間 826万kℓ(原油換算)の省エネルギー効果等が見込まれる。これらの数値を達成すると、市場で15%のシェアとなる。

2.地域における分散型エネルギーの導入促進
 (1)電力システム改革は、エネルギー供給事業者の相互参入、新たな技術やサービスのノウハウを持つ様々な新規参入事業者の参入を促し、エネルギー市場を活性化し、地域金融機関の資金の活用をはじめ、地域に資金の好循環をもたらすことが期待されている。ただし、地域によってはインフラの未整備が、エネルギーに係る多様な事業主体の立ち上げのネックとなることが多い。
 発電事業や熱供給事業などの地域のエネルギー供給事業と、それに必要な送電網や熱導管などの分散型エネルギーインフラに対する投資が同時に進めば、この好循環は自立的な軌道に乗ることが期待できる。しかし、インフラ整備については、初期投資から資金回収までに相当の期間を要すること等から、自治体が主導的な役割を果たしながら、地域金融機関をはじめ、地域の総力を挙げた取り組みが必要である。なお、熱供給に伴うインフラ投資額としては、1地域の平均単価として約50億円が想定できる。
 また、地域のエネルギーインフラの整備にあたっては、大規模集中電源との接続を含めた総合的な協力関係の構築と全体システムの設計が必要であり、数多くの関係者を含めた事業調整が不可欠であるため、この点においても、自治体による調整に大きな期待が寄せられている。
 これらの自治体の役割を支援するために、地域活性化事業債や過疎対策事業債などを柔軟に活用していかなければならない。

 (2)需要地の近くにある分散型エネルギーの促進の観点からは、託送料金の体系を検討することでメリットが生じるケースがある。ただし、託送料金が割高となるケースも考えられるので、託送料金や低圧配電網の運用について今後の制度設計の中で検討するべきである。

 (3)地域において分散型エネルギーの導入を促進するためには、消費者保護を担保した上で、消費者の選択肢を拡大するべきである。
 海外の事例では、消費者保護と開かれた電力市場の観点から、市場取引を誰でもリアルタイムで見ることができ、各電力プロバイダーの提供するメニューについても、価格・環境性能などの比較サイトも充実している。こうした取り組みにより、単に表面的な価格だけではない良質な電気を消費者が選択する際の参考となっている。
 地域における分散型エネルギーの導入促進にあたっては、消費者の選択肢拡大の目途となる市場での達成目標を導入する。具体的には、料金規制撤廃までの期間内で消費者の電力間乗り換え率を1割以上とするなどの数値を設定する。
 また、消費者の電力会社乗り換えにあたっては、できるだけ簡素化された手続きを採用し、消費者の二度手間を避けるなど、消費者の利便性を最大限確保する。
 また、消費者保護の観点から、電気料金の明細表示も必要である。現在、燃料調整費と再エネ賦課金に関わる部分については電気料金票に明示されているものの、その他課金されている税金や、原子力発電に関わるコスト、送電線にかかる費用などについては、まったく記載がないことは問題である。電気料金の課金システムを透明化することで、消費者の選択の幅を広げることが可能となる。

3.地域の活性化
 (1)分散型エネルギーの導入により地域を活性化するには、地域コージェネレーションにより、エネルギーコストを削減しつつ、地域の物的及び人的資源を活用することが有用である。特に、木質バイオマスの利用は、地域における雇用創出の効果が高く、農村に新しい富をもたらす。例えば、木質バイオマスを利用した地域エネルギー事業において、総務省の試算では、1箇所あたり少なくとも50人の新規雇用が期待されている。さらに、バイオマス先進国であるドイツでは、2012年には約12万8,900人の雇用が創出されている。
 また、発電事業や熱供給事業などの地域のエネルギー供給事業にとどまらず、地域全体のまちづくりを見直し、先端技術を積極的に導入するスマートシティを目指すことも有効である。
 
 (2)スマートシティとは、エネルギー利用と「情報」を組み合わせた新しい都市管理の在り方である。エネルギーの需給量を電子データで管理し、供給・需要双方に合わせたエネルギー管理を実現する。具体的には、需給逼迫時の自動需要コントロールや、需要低減時の自動供給コントロールなどである。同時に、これらの情報を蓄積することにより、ある程度の予測的調整・管理も可能となる。
 比較的小さな地域レベルでは、まずこれらの電子的管理システムを導入し需給調整を行い、広域的には、複数の都市の管理データを集めて精度の高い予測的調整・管理を実施することが可能となる。
 
スマートメーターの我が国での普及については、現時点では一般電気事業者が2024年までに全戸に普及させるという目標を持っているが、国としても、小売り全面自由化から2年で5割、5年で8割などの数値目標を目途として進捗を管理することが求められる。

 (3)バイオマスを我が国に普及促進するにあたり、以下のような障害があると報告されている。
 ①新型発電設備の輸入の支障
 我が国のバイオマス発電設備は、石炭火力発電技術を転用したため、残材利用ができない、熱電供給ではないなど、非効率なものが大変多くなっている。一方、欧州のバイオマス発電設備は残材利用を基本としている上、熱電併給が基本となっている。
 しかし、欧州製のボイラーを導入するためには、電気工作物としての規制を受けるため、事実上、輸入することは困難となっている。欧州製ボイラーの輸入が容易となるよう、一日も早く関係規格の取り込みを行う。

 ②熱事業と電気事業の異なる法体系
 
我が国の最終エネルギー消費の現状においては、熱利用を中心とした非電力での用途が過半数を占めている。我が国では、熱供給事業と電気供給事業は別の法制下におかれているところ、熱の有効利用を促進していくためには、電力・ガスシステム改革と併せて、事業規制や料金規制を緩和し、熱供給事業に新規事業者が参入しやすいよう加熱能力規模や熱媒体条件を見直すなど、熱供給事業法の改正が必要である。