エネルギー基本計画を議論する部会においてエネ庁の高官から、「原発の停止で燃料費が3.1兆円も余分にかかっていて国富が流出している。その燃料たる石油もガスも中東に依存しているので、脱中東依存のためにも再稼動を云々・・・」という主旨の発言があった。この燃料費3.1兆円高騰・国富流出論と中東依存論はメディアや巷でもよく話題になる。しかし、これらのことは本当なのだろうか。

 燃料費3.1兆円増という数字は、2008年から2010年までの原子力発電平均電力量である2748億kWhから、2012年の泊3号機の8億kWhと大飯3・4号機の148億kWhを除いた2592億kWhを火力発電で代替したらという想定で試算されている。つまり、3.11以前の原発フル稼働だったときの原子力発電量を火力で代替したらということになる。今の日本で54基の原発が3.11以前のようにフル稼働するなどあり得ない想定であり、どうして3.11前の原子力発電量をすべて火力で代替するという想定で試算するのか理解できない。

 では、実際の数字はどうかといえば、2012年の火力発電の発電量は政府の試算より766億kwも少なかったといわれていて、これによれば原発停止による燃料費の増加は2.2兆円ほどと1兆円も違ってくる。しかも、為替の変動や全世界的な化石燃料の価格高騰を勘案すると、さらに0.7兆円も少なくなると指摘する学者もいる。

 燃料費を海外に払うことが国富の流出と言うのであれば、燃料費がゼロである再生可能エネルギーで化石燃料を代替していくことこそがベストなはず。燃料費として海外に支払ったお金は日本経済にあまり寄与しないが、再生可能エネルギーや節電・省エネに投資したお金は国内で還流するわけで経済効果は何倍にもなる可能性がある。

 中東への依存というものも、何を根拠にしているのか理解に苦しむ。たしかに、日本に入ってくる石油の83%は中東からのものだが、このうち発電に使われているものは10%程度でしかない。ガスは、そもそも中東からのものは29%くらい。どちらも、発電という観点からは「依存度が高い」というにはほど遠い数字。

 燃料費高騰と脱中東依存は、どちらも原発を肯定する理由にはなり得ないというのが私の考えです。原発の再稼動を科学的な見地からではなく、経済的な理由(理由にならんような理由ではあるが・・・)で進めようという考え方にはまったく賛同できない。

 こんなデタラメな数字が飛び交っていますが、みなさんはどうか冷静に判断をしてもらえたらと思います。