資源・エネルギー戦略調査会で、東京電力福島第一原子力発電所における放射性汚染水の制御に関する特別措置法案(通称:福島第一原発完全ブロック法案)が示されたのだが、この内容がヒドイ。原因者に措置と負担を求める炉規法や他法令との整合性はまったくなく、求償のスキームもまたしてもグチャグチャだ。

 例えば、法案の4条には東電の措置が不十分なら経済産業大臣が自ら汚染水制御事業を実施することができる。実施するときは、規制委の同意を得なければならない。第六条には、汚染水制御事業の実施に係る費用を支出したときは、東電が利益を受ける限度において、その費用の償還を請求するとある。そして、法案の逐条ごとのQ&Aには、汚染水制御事業が汚染水の流出の防止に寄与しなかったと評価される場合や、そもそもそれを実施する必要がなかったと評価される場合は、その係る費用は東電が自ら負担すべきはずの費用とはいえないと解されるから、そのような費用は償還を請求できないとある。

 こんなバカなことがあるだろうか。

 つまり、東電ではダメだから国が代わりに汚染水を止めるために作業をするよ。だけど、効果がなかったような場合は東電に求償できないもんねという意味だ。炉規法でも除染や賠償の特措法でも、原因者が費用を全額負担することになっている。それでも、東電は除染に要した費用の80%前後も支払っておらず、所管する環境省も財務省も回収作業にとてつもなく苦労している。除染に係る費用は数兆円ともいわれており、この未払い率を単純にかけても兆円単位で国民の負担になる。正確にいえば、この費用は我々が復興増税で被災地のために積み上げている復興特会から立て替えられているので、未払いは東北の復旧復興そのものに穴をあけることになり復興が進まなくなる恐れすらある。

 全額を東電の負担とする法律に係る費用についてもこうした多額の未払いが発生しているわけで、「東電が利益を受ける限度内」や「汚染水制御事業の効果をみる」などと規定すれば、その結果がどうなるのかなど誰が考えても火を見るよりも明らかではないか。

 限度内がどこまでで事業の効果を誰が判断するのかも不明。そもそも、東電が事故を起こさなければ汚染水制御事業などは発生しないわけで、発生する作業はすべて事故由来の放射性物質に起因しており、その措置と負担は原因者に責任があると関係法令に明記されている。道徳的にも当たり前のことだ。効果がなかったらとか、実施する必要がないと評価されたら云々などと書く必要がどこにあるのか。

 また、作業を開始するには経産相が規制委の同意を得るとしているが、作業開始後の責任や監督権がどちらにあるのかの明記もなく、規制委からも懸念する声が部会の場で上がっていたくらいだ。他にも矛盾点を上げたらキリがない。

 とにかく、こんな出鱈目な法律は絶対に認められない。