あまり大きく報道されないが、除染にかかった費用を東電が支払わないという問題が起きている。

 除染は放射性物質汚染対処特措法に基づいて東京電力の負担の下に実施されるものと規定されている。とは言っても東電任せでは除染が進まないので、国や自治体が除染作業を実施し、その費用を東電に求償するということになっている。

 除染に要する経費として内閣府や環境省がこれまでに予算措置した額は1兆2874億円。このうち請求の準備が整った403億円について東電に求償(平成24年11月から3ヶ月ごと)したところ、これまでにたった67億円しか支払いを受けておらず83.3%にあたる336億円が未払いとなっている。

 環境省の説明によれば、東電は、書類の確認に時間を要しているほか、一部の請求について「特措法に基づく措置に該当すると判断できない」と主張しているようだ。

 これはおかしい。

 原賠法において、原子力の損害責任は、原子炉の運転等に係る原子力事業者にあると規定されている。また、特措法の第44条1項でも、事故由来放射性物質を放出した原子力事業者の負担の下に実施されるものとされている。したがって、除染等の措置については、原因者である東京電力負担の下に実施するのが当たり前で、そこに法的にも道義的にも何の疑義もない。

 東電の主張する「特措法に基づく措置に該当すると判断できない」点については、原子力損害賠償紛争審査会がまとめた指針で、「事故由来放射性物質に関し必要かつ合理的な範囲の除染を行うことに伴って必然的に生じた追加的費用等は、放射性物質汚染対処特措法第44条1項の対象となるか否かにかかわらず、賠償すべき損害と認められる」とされている。

 さらに問題なのは、この除染にかかる費用は一時的に国が肩代わりしているわけだが、この財源が被災地の復旧復興に使われる復興特会になっていることだ。東電が未払いを続けた場合、最終的には復興特会に穴が開き復旧復興が進まなくなる恐れがある。除染費用は数兆円になると予想されているが、仮に今の時点で要している1兆2000億円に東電の支払い率をかけると1兆円も復興特会に穴が開くことになりとても看過できるものではない。

 除染は賠償支援スキームの中で原賠機構法により、長期的には東電から回収でき復興特会の外枠と思い込んでいる政務の方もいるようだが、除染に係る求償に東電が応じず未払いが続くと復興特会に穴が開くということを認識するべきだ。

 こうした状況にあるにもかかわらず、さらに国費を投入しようとするのは愚の骨頂だ。国費を投入する前に、しっかりと問題を整理するべき。そのためには、破綻処理するしかない。